【水戸市】弘道館左近の桜

水戸左近の桜三代目が水戸弘道館正庁前に咲く。赤芽白花の究極。開花時薄紅色に染まり、満開とともに純白に変化します。天保2年(1831年)、有栖川宮家の登美宮吉子が、水戸藩第9代藩主徳川斉昭公の正室として降嫁する際、仁孝天皇から京都御所紫宸殿前の左近の桜の苗木を賜り、江戸の小石川上屋敷水戸藩邸の庭園後楽園に植えられました。そして天保12年(1841年)、弘道館の開館にあたり、正庁玄関前に移植されました。この移植された桜はサイズから見て初代から取られた苗木であり、これが二代目。初代と二代目がいつ頃枯れたのかはわかりませんが、昭和38年(1963年)、弘道館改修工事の完了を記念して、茨城県が宮内庁より京都御所左近の桜の苗木(樹齢7年)を拝領し、弘道館と偕楽園に植えられました。これが三代目。水戸左近の桜は、尊王の心を大切にしてきた水戸と皇室をつなぐヤマザクラであり、斉昭公の側近、藤田東湖が『正気の歌』に記した「万朶の桜(ばんだのさくら)」とは、まさにこのサクラの樹観に代表される「日本人の正気の象徴・日本人そのもの」という桜花観(おうかかん・さくらばなのみかた)であります。令和元年の台風で倒木した偕楽園左近の桜の後継樹を秋篠宮佳子内親王殿下がお手植えされたことも、いかに水戸左近の桜が大切で品格のあるサクラであるかわかるというものです。


水戸市緑町に植えられている弘道館左近の桜の接ぎ木個体。

水戸市元山町に植えられている弘道館左近の桜の実生個体。

水戸市元山町に植えられている弘道館左近の桜の実生個体。